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2010年2月 8日 (月)

会いたいときに、会える人

2月8日 マニラ滞在318日め  あと残り19日

あっというまに終わってしまった、2週間。

自分の足で、お世話になった人たちに「ありがとう」を伝えにいくつもりが
結局はまた、お世話になるばかりだった。
もう、どうしたらいいんだよう。

やっぱりわたし、彼らにはかなわない。「ありがとう」は返すのではなくて、
誰かほかの人に おすそ分け できたら、
それでいいのかなぁ。



・・・
会いたくて、話ししたくて、呼んだらきてくれた、友だちがいる。

べバリーは、初めてわたしがサークル仲間と訪れた、ナヨン村出身。日本人学生を受け入れてくれた、ホスト家族の一員として出会った。才女で親切だけど、ちょっと頑固なひねくれもので・・・鶏さばきを日本人にやらせては、ひーひー言う姿を笑ってながめていた。答えに困る、政治や歴史の質問してくるから、苦手。身体も態度もでかい、スモーク・ドランカーの不良娘は、ただ「友だちのお姉ちゃん」的な存在でしかなかった。

もともとマニラのフィリピン大学学生だったけど、退学して村にいたのが、どういうわけか10月頃から復学してマニラで暮らし始めた。
たまに会って話すようになり、だんだんわたしのマニラでの行動に、興味を示すようになる。

なんで?どうして?
いつも、きいてくる。わたしはただ、農村で出会ったすきな人たちに協力したいと、デモやキャンプで運動に参加していた。暇をみては農村にいって、彼らの仕事や生活を真似たり記録したり、していた。
その姿は、彼女からみれば滑稽だったらしい。土地をめぐる法律延長運動も、良識ある彼女からいわせれば、理屈はわかっても実現しがたい、理想だという。


いつも理詰めな彼女をひっぱって、ある日農村へ、山の中のお宅へ一泊旅行に。
汗をかきかき、山をのぼった。泊めてもらったのは、電気も水道もない、ぜんぶ手づくり木のお宅。顔見知りの老夫婦は、「こんなところまで、まぁよく!」と迎えてくれた。
葉野菜を水煮にしただけの、おかずと貴重な米の夕食をいただく。ろうそくの火で、語らう。ひゅーひゅー風の音が聞こえる夜。布一枚しいただけの寝床、譲ってもらった蚊帳の中でふたり、寝そべった。

「小作農民の生活は、しらなかった。」
ぽつり、彼女はいった。

べバリーはいつも、自分の家も農家だといっていた。だから、農民のことはよくわかっている、と。農場を持っているらしい。8人兄弟ながら、ほとんどが大学進学できているくらいだから、家庭は裕福な方だ。きっと大きな農場なのだろう。
でもそれは、土地を持っている農民だからであって、小作農とは雲泥の差。
フィリピンの農地は、ほぼ限られた大土地所有者に独占されている。そこで作られている作物は主に日本など、外国への輸出むけだ。
専業農家のべバリー家は、そこまで極端ではないし、国内向けだけれど。きっと一握りのうち。
国内向け農作物をつくる、多くは小作人で、彼らの生活は厳しい。加えて、マニラ周辺のラグナ州の様に、開発者の手により耕作地を奪われている農民も多い。プトル、マハダ、バタンガス州出身者たちは、まさにその当事者。




はじめて、生の体験を、彼女もしたのだと思う。じっと、黙って考えこんでいた。
わたしも6月、目の前の情景を、感じた衝撃を、消化するには時間がかかったっけ。


彼ら小作人を見下していた、とベバリーは言った。

以来、彼女も時間があれば、わたしのようにキャンプへ寄り、そこで農民たちと飯を食い・・・寝泊りもするようになった。わたしが「また今日、キャンプで寝てきちゃった」というと、「信じられない!!」と目をまるくしてたのに。
一生懸命、頭だけじゃなくて、身体で相手を理解しようと、彼女は努めてくれる。
それは、言葉で伝えることができなかった、わたしと同じ方法だ。

フィリピン人同士でも、お互いを知らなかったり、知らない相手を知ろうとしたり。
一緒に、相手から学ぼうとしてくれる、彼女。いつしか私の相棒となった。
いつも、ボランティアはわたし一人だったのに。いつしか彼女が仲間になった。


だいすきな友だちはたくさんいる。けれど、その多くは制限の多い、境遇の人たちばかり。





会いたいときに会える、食べたいものを一緒に食べる、行きたい場所へ一緒に行く
ことができる、唯一の友だち。
日本では当たり前だけど、フィリピンでは夢みたい。

べバリー。あなたのおかげで、わたしのマニラ暮らしは100倍、楽しくなったよ。



明日から、べバリーの妹で、わたしの親友・同期が、日本からやってくる。
一緒に、わたしたちのふるさと、ナヨン村に帰るんだ。

一年前からの、約束。

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