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2010年4月 4日 (日)

名も知らぬ人 

2009年 2月21日 帰国まであと6日

約11カ月間、困ったことは特になかった。
もちろんトラブルは日常茶飯事で、思い通りにいかないことが普通だったけど。
盗難とか病気とか怪我とか、一般的に起こりうる危険にはホント、あわずにすんできた。

しかし、ここへきて、あと6日で帰るというのに・・・
犬にかまれたのだ。

もちろん想定していたトラブルなので、必要な処置はした。せっけんですぐ洗って次の日病院にいった。
注射を5、6本打った。日本でも続けて打つ必要があるので、一個買った。氷にいれながら、持ち帰ることに。

なんだか、とたんに悲しくやるせなく、なってしまった。


もう時間がないのに。明日はとても大切な計画があるのに。余計な用事が増えてしまった。
ワクチン打ったら、いきなり食事制限。何が入ってるかよくわからない、だいすきなフィリピン料理がもう食べられない。
一年間はらはらしながら待っててくれた、日本の家族。「ほらね、大丈夫だったでしょ!」こう言うつもりだったのに。

こんな高価な治療。現地の人はほとんど受けられてないのだろう。でも絶対、日常で犬にかまれている人はたくさん居る。注射してきたなんて、友だちの誰にもいえない。

もう、がっかり脱力傷心で、ふらふらしながらラグナ州からマニラまでの、バスにのった。もう何もかも、どうでもよくなって、周りもみえない。

でも、この日の帰り道を忘れない。落ち込んで、半分泣きながらの帰り道。

バスの中、車掌さんに運賃払おうと、硬貨を探してごそごそしていたら。後から乗ってきた、隣の席のお兄さんがさりげなく、1ペソ硬貨を差し出してくれた。
いつの間にか疲れて眠ってた。頭も痛くて、マニラに入って、降りる場所が近づいていたのに、起きれなかった。
「クバオついたよ」隣のお兄さんが、つついて起こしてくれた。
先に降りて行った、お兄さんは一瞬じゃあねとにこり。初めてまっすぐ見た、お兄さんは
日に焼けて黒い肌、身なりは、遠くからやってきた行商人という感じだった。

乗り換えた、やっぱりバスの中。上下左右に揺れる、手がすべって5ペソ硬貨を落とした。と思ったら。隣にすわっていたおじいさんの、ちょうど足の甲があった。おじいさん、そのままそーっと、足を上に持ち上げて・・・わたしの5ペソ硬貨を拾ってくれた。
声にださずとも、わたしとおじさんがその時、確かに目でかわした言葉を覚えている。
「ナイスキャッチ!!」
さっきまで無表情でだまって、ひとりで座っていたおじいさんの顔。信じられないくらい愉快そうな笑顔にかわった。

バス乗り場がわからなくて、道をたばこ売りのお姉さんにたずねた。一瞬迷ったかと思うと、また別のお兄さんを呼び、そのお兄さんは何も言わず、バスまで連れて行ってくれた。

犬にかまれた時、最初に大きい病院に行ったけれど、看護婦に担当医がいないと言われ、途方にくれていたら・・・そばで聴いていた通りすがりのおばさんが、狂犬病ワクチン専門の診療所の場所を知っていて、教えてくれた。

すんごいついてなかったけれど。見も知らぬ人、にたくさん助けてもらった。
この日もらったやさしさで、すこしずつ、元気になれた。

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